皆様、明けましておめでとうございます。
投句をいただきながら、メルマガの発行が大変遅れてしまいました
ことお許しください。
日本の皆様からは、秋から冬へとだんだんに寒くなり、空気も澄ん
でうつくしい中での作品が多かったですね。また、地球の反対側の
チリのサンチャゴからの作品は、ちょうど正反対の夏の出来事でし
た。
俳句は、ほんのちょっとした「心のつぶやき」です。思いがけなく
感じた妹の温かさ、白い息、どんぐり、赤とんぼ、月の兎、そして
学校行事の運動会や学芸会など、小さな発見や小さな感動が俳句と
いう詩になっていました。
「ハイクワンダーランド」は、俳句を作り続けていくことで、大切
な思いをしっかり自分に刻むことの出来る場であると考えています。
ある学年の子どもたちが、俳句を作りつづけていくと、かならず、
俳句らしさを掴み、ぐんと伸びる時期があることに気づきました。
それぞれの学校の先生の力が大きいのですが、子ども達の作品とな
った投句を見せていただくたびに、私は感動すら覚えます。
来年度からは、少しリニューアルすることを考えています。
学校生活のリズムを考えましたことと、選者あらきみほの事情です
が、内容は、一歩充実したものを考えております。どうぞ、今後と
も楽しい俳句を共有できることを願っております。
★彡
●予選通過の句です
クリごはんクリを食べないお兄ちゃん 2年 千川亜里砂
靴下を探して裸足の冬の朝 4年 宮本和彦
田んぼには空がいっぱいトンボ飛ぶ 5年 鈴木裕一郎
妹と一緒に寝ると暖かい 5年 吉川瑞樹
おはようと家から出ると白い息 5年 荒木加織
運動会日焼けが一番敵なんです 6年 東海林めぐみ
パラパラパラ読書の秋がやってきた 6年 森本雪子
どんぐりころころあったよ見つけたよ 6年 北川季宝
かき氷店をひらいて大もうけ 2年 松本匠摩
2ねんジャーしんせつさがしのたびに出る 2年 水野堅太
稲刈りでみんなの顔に汗光る 5年 山口 怜
帰り道石ころけって秋の空 5年 天野隆太郎
走者きてかすかに響くわが鼓動 5年 石川 創
イチョウの葉風にふかれて親離れ 6年 堀田実希
月を見てこっそりウサギが餅食べた 6年 野々口聖
夕焼けにつられて来るよ赤とんぼ 6年 植松莉央
赤とんぼいちにさんよん目がまわる 6年 箕輪彩加
鏡の中たくさんうつる桃桃桃 6年 高橋みなみ
楽しいなススキを持ってゆさゆさゆさ 6年 藤崎麻子
ホーホーとフクロウなに考えてるのかな 6年 藤崎麻子
★彡
◆鑑賞です
クリごはんクリを食べないお兄ちゃん 2年 千川亜里砂
亜里砂さん、秋になると秋の季節感たっぷりな栗ご飯をお母さん
が作ってくれたりします。でもお兄ちゃんは栗が嫌いなのですね。
栗ご飯をおいしいと思っているので、栗を食べないお兄ちゃんは不
思議なのでしょう。
靴下を探して裸足の冬の朝 4年 宮本和彦
和彦君、冬の朝は寒いですね。ぬくぬくした布団から抜け出した
だけでも寒いのに靴下が見つからないので裸足でうろうろして探す
のです。洗濯が間に合わなくて靴下がなくなったのでしょうか。寒
くて困っている情景が浮かびます。
田んぼには空がいっぱいトンボ飛ぶ 5年 鈴木裕一郎
裕一郎君、秋の田んぼの上には青空が広々と広がっています。空
の広さはいつの季節でも変わらなさそうだけれど、秋の空は特に広
く感じられます。そしてその秋の空に蜻蛉が飛んでいるのを見つけ
たのですね。とても秋を感じる風景です。
妹と一緒に寝ると暖かい 5年 吉川瑞樹
瑞樹くん、ほんとうに心まで暖かい光景です。たとえば、赤ん坊
の体温は大人よりも少し高いといいますが、とくに、眠っていると
きはポカポカとあったかいです。
おはようと家から出ると白い息 5年 荒木加織
加織さん、友だちが外で待っているのですね。玄関を開けて「お
はよう」と叫んだときの、寒い外気にふれた言葉が白い息になって、
見えてきそうです。
運動会日焼けが一番敵なんです 6年 東海林めぐみ
めぐみさん、6年生ともなると日焼けも気になるお年頃なのでし
ょう。大人のいうセリフ「お肌には日焼けが一番敵なんです」が浮
かんできて、若いめぐみさんの俳句となっているところが楽しいで
す。
パラパラパラ読書の秋がやってきた 6年 森本雪子
雪子さん、「パラパラパラ」という少しいい加減に見える状景か
ら、何時だってほんとうは読書は楽しいのに「読書の秋だなんて誰
がきめたの」という心がちらちら見えそうです。
どんぐりころころあったよ見つけたよ 6年 北川季宝
季宝くん、この俳句はとてもよいリズムです。「どんぐりころこ
ろ」の童謡に「あったよ見つけたよ」とうまくつなげました。最初
はなかなか見つからなくて、歌をうたっていたら、あっ、見つかり
ました。
かき氷店をひらいて大もうけ 2年 松本匠摩
匠摩くん、チリの学校での夏の行事のなかで、子どもたちの「か
き氷店」ですね。「いらっしゃいませ」と言いながら、生徒や先生
のお客様をもてなしました。「大もうけ」は、紙で作ったお金でし
ょうか。
2ねんジャーしんせつさがしのたびに出る 2年 水野堅太
堅太くん、チリの学校で「サンチャゴ戦隊2ねんジャー」という
劇をやったのですね。「2年じゃー」というのは堅太君たち二年生
のみんなのこと、「しんせつさがし」の旅に出たみんなは、どんな
親切をすることができたのでしょう。ごほうびは「ありがとう」で
す。
稲刈りでみんなの顔に汗光る 5年 山口 怜
怜くんたちが、学校の授業のなかで稲刈りをしたのでしょうか、
それとも、田んぼの稲刈りを見ていたのでしょうか。働いている顔
が汗で光っていることに、そのことが美しいことに気づいたのでし
ょう。
帰り道石ころけって秋の空 5年 天野隆太郎
隆太郎くん、最近のアスファルトの道では石をけりけり学校から
帰ることもないかなあ、と思っていましたが、子供たちはちゃんと
石ころや草花のある道をしっているのですね。済みきった秋の空の
下で、学校のこと、友だちのことなど考えながら石をけっています。
走者きてかすかに響くわが鼓動 5年 石川 創
創くん、学校のマラソン大会の応援をしているのでしょうか。ク
ラスの代表走者が一番で目の前を通ったとき、それとも、少し遅れ
た走者がやっと目の前を通りぬけたとき、応援している人はどきど
きです。「かすかに響くわが鼓動」が5年生らしいと感じました。
イチョウの葉風にふかれて親離れ 6年 堀田実希
実希さん、イチョウが落葉となって木から離れてゆくのを眺めな
がら「親離れ」と感じた心が素晴らしいと思いました。きっと、実
希さんも親離れをしつつある時期なのですね。
月を見てこっそりウサギが餅食べた 6年 野々口聖
聖くん、このウサギは月の兎ではなくて地上のウサギ。餅をつい
ているという月の兎を見ながら、月見ダンゴをこっそり盗み食いを
しているのは地上のウサギ。面白いですね。
夕焼けにつられて来るよ赤とんぼ 6年 植松莉央
莉央さん、なぜか夕焼のなかに赤とんぼはいるものです。赤とん
ぼの赤がいちばん美しく見えます。「夕焼につられて来るよ」と感
じたことで、素晴らしい詩になりました。
赤とんぼいちにさんよん目がまわる 6年 箕輪彩加
彩加さん、うまいなあ。木や石に止まっている赤とんぼの前で
「いちにさんよん」と数えながら人差し指をくるくる回したのです
ね。あかとんぼを捕まえることができましたか。
鏡の中たくさんうつる桃桃桃 6年 高橋みなみ
みなみさん、桃は秋の季語ですね。桃をいっぱい買ってきたので
しょう。そして桃が置いてある場所のそばにたまたま鏡があったの
でしょう。置いてある桃にさらに鏡の中の桃まで追加されて桃がい
っぱいになった不思議さがよく現れています。
楽しいなススキを持ってゆさゆさゆさ 6年 藤崎麻子
麻子さん、ススキの穂が風になびく姿は秋の季節感が感じられる
光景ですね。野に咲いているままのススキもいいけれど、ススキを
とってきてそれを手に取ってみるとまたさらに感触をともなってス
スキの穂を味わうことができるのです。
ホーホーとフクロウなに考えてるのかな 6年 藤崎麻子
麻子さん、フクロウは冬の季語になっています。どこにいるのか
わからないけれども、フクロウの鳴き声はとても印象深いものです。
そのフクロウが何を考えているのかなと考える麻子さんの発想も素
敵です。
★彡
●もう一歩の句です
サンタロサけんかもしたけどたのしめた 2年 塩野谷 和
「サンタロサ」は、日本人学校と交流しているチリの学校だそう
ですね。和くん、外国の友だちと「けんか」もできたのは素晴らし
い。
フラフープ1番人気おおさわぎ 2年 釜中美南
美南さん、フラフープは50年ほど前に流行りました。うまく回
すにはコツがあるのでしょう、美南さんはいかがですか。
雨の中足湯につかりほっとする 5年 内藤温子
温子さん、とくに、少し肌寒い雨の日の足湯は「ほっとする」気持
ちわかります。
うろこ雲真っ赤に染まる秋の空 5年 土屋佳祐
佳祐くん、秋の大空いっぱいのうろこ雲が夕焼色になっているの
はきれいですね。
中休みふと見上げるといわし雲 5年 木川加奈子
加奈子さん、短い「中休み」だから、ふっと、いわし雲に引かれ
る気持ち分かります。
秋の風日がますごとに寒さます 5年 田中友視
友視さん、ほんとうにそうですね。秋から冬を実感している様子
がでています。
さざんかが朝を見送る枯れるまで 5年 寺部 藍
藍さん、秋から冬まで随分長く咲くさざんかが毎朝の見送りをし
てくれいのですね。
青空にいわし雲見え秋だなあ 5年 石川葉子
葉子さん、まさに、空いっぱいのいわし雲は秋の景色です。
青春よ短く長く輝くぞ 5年 後藤有希
有季さん、短いとは皆言いますけれど、「青春は短くて長い」は
スゴイ言葉です。
帰り道ふと気がつくと枯れ葉道 5年 山田夏菜乃
夏菜乃さん、季節の変化の美しさはきっと気づいた人にだけ見せ
てくれるのでしょう。
紅葉たち風にふかれて一生を 5年 末広美波
美波さん、美しい紅葉の季節が終ると「葉っぱ」の一生はおわり
ですね。
秋の風ヒュルリヒュルリむせびなく 5年 大谷昂平
昂平くん、「ヒュルリヒュルリ」が秋の風らしいですね。
秋なのにぶんぶん蚊がねまだいるよ 5年 田中太海
太海くん、秋の蚊でも最近は温かいので、夏と同じように元気で
すよね。
テストの点母に見せるのためらった 5年 渡辺理央
理央さん、よーくわかります。いつものような点がとれなかった
のですね。
チャポチャポと足湯に入りほっかほか 5年 宮川 栞
栞さん、ほんとうに気持ちよさそうな足湯の光景です。
秋の空見れば見るほどすんだ色 5年 安井美樹
美樹さん、「秋澄む」という言葉があるほどで、空気が澄んでい
るからでしょうね。
太陽は家族のように暖かい 5年 平本康介
康介くん、きっと「太陽のような温かな家族」に囲まれているの
でしょう。
運動会わくわくどきどき楽しみだ 6年 坪田恵里花
恵里花さん、どんな種目に参加したのでしょうか。晴れるといい
ですね。
マツタケを見つけに行こう一緒にね 6年 魚島崇裕
崇裕くん、マツタケの生えている秘密の場所を知っているのでし
ょうか。
芋ほりで張り切りすぎて泥だらけ 6年 藤川笑子
笑子さん、どんどん夢中になってしまう芋掘りの様子がよく見え
てきます。
暑いけどゴールへ向かってさぁ行こう 6年 天野優希
優希さん、「ゴール」は運動会のゴールでしょうか、それとも受
験とかのゴールですか。
キレイだな輝く月に乾杯だ 6年 裕谷航平
航平くん、月見で一杯はもちろんジュースですよね。
十五夜丸い月様おでましだ 6年 山内崇央
崇央くん、2007年の十五夜はとくに美しいお月さまでした。
もみじの葉夕焼け色に染まってる 6年 池森友美
友美さん、紅葉の赤、さらに夕焼に透かしてみたときはきれいで
したでしょう。
運動会疲れたけれど楽しかった 6年 岡本紘典
紘典くん、せいいっぱい走ったり、組み体操をしたり、綱引きを
したり。
どんぐりは落ち葉の下に眠ってる 6年 津久井彩乃
彩乃さん、拾われなくて落葉に潜り込んだどんぐりは、来年は芽
がでてきます。
焼き芋のにおいで食欲わいてくる 6年 吉仲実梨
実梨さん、わたしにまで匂いが伝わってきそうです。
食欲がみなぎる秋がやってきた 6年 阪田野乃佳
野乃佳さん、秋は空気が澄んで、収穫の時期でおいしいものにあ
ふれています。
チラリラリン枯葉が落ちてさみしいな 6年 河瀬太朗
太朗さん、人は枯葉が落ちるとなんで淋しいって感じるのでしょう
ね。
シマリスがどんぐり集めてうれしそう 6年 幡谷良紀
良紀くん、シマリスは秋の内にいっぱい冬の食料の確保している
のですね。
楽しいね運動会は盛り上がる 6年 猪俣愛樹
愛樹さん、みんなで準備して、当日は誰もが真剣だから、きっと
楽しいのでしょう。
運動会泣いても笑っても最後だよ 6年 岡本みさき
みさきさん、6年生にとっては小学校生活最後の運動会です。
満月が君をきれいに照らしてる 6年 筒井玲京
玲京くん、確かに月光の下では一段とうつくしく見えるかも。
下り坂落ち葉が風にのってくる 6年 西村一馬
一馬くん、坂道を転がってくる落葉はくるくる走っているようで
す。
運動会勝っても負けてもくいはない 6年 西上拓馬
拓馬くん、一生懸命にやったことは結果として負けても、次に頑
張れるものです。
あらきみほ 選
☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡
■あらきみほ・プロフィール
俳人。1945年、大分県生まれ。1967年、青山学院大学英米文学科卒業。
『蝸牛新季寄せ』『子ども俳句歳時記』ほか編集に携わる。
編著『小学生の俳句歳時記』『名句もかなわない子ども俳句170選』
『毎日楽しむ名文365』、絵本翻訳『チュウ太郎の青い空』、句集
『ガレの壺』、共著『虚子「五百句」入門』。
「花鳥来」の深見けん二主宰に師事。俳人協会会員。NHK通信添削講座
講師。朝日カルチャーセンター通信添削講座「深見けん二教室」講師。
「インターネット・つれづれ俳句メールマガジン」4年間毎週執筆。
「インターネット・ハイクワンダーランド」選者。
◎小学生の俳句メールマガジンHaiku Wonderland
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